【比較編】ELTとETLの違いとは?それぞれの特徴と選び方をわかりやすく解説
1. ELTとETLの基本的な違い
まず最初に、両者の流れを整理しておきましょう。
- ・ETL(Extract → Transform → Load)
抽出 → 加工 → 格納
加工してから保存するスタイル - ・ELT(Extract → Load → Transform)
抽出 → 格納 → 加工
保存してから加工するスタイル
この順番の違いが、データの取り扱いや運用の考え方に大きく影響します。

▲ ELTとETLの違いのイメージ図
2. 処理場所の違いとデータの扱い方
項目 | ETL | ELT |
---|---|---|
データ加工の場所 | ETLツールや中間サーバーで変換 | データウェアハウス内で変換 |
特徴 | 移動前に軽量化できる | 生データをそのまま保持し、柔軟に加工できる |
ETLでは、データをデータウェアハウスやストレージに保存する前に、必要な情報だけを選別・加工するため、投入するデータ量を絞ることができ、保存コストを抑える効果があります。
一方、ELTでは、まず生のデータをすべてデータウェアハウスに格納します。
そのため、あとから用途に応じて自由に加工できる柔軟性があり、ビジネスニーズの変化にも迅速に対応できるのが強みです。
3. 柔軟性とスピードの違い
- ・ETLは、データ変換ルールがあらかじめ決まっている場合に向いています。仕様変更が頻繁だと対応に手間がかかることがあります。
- ・ELTは、加工を後から行うスタイルのため、新しい分析ニーズにも柔軟に対応できます。変化の速いビジネス環境においては、非常に有利です。
4. コストとパフォーマンスの違い
- ・ETLでは、加工済みの軽量データだけを保存するため、データウェアハウスのストレージコストを低く抑えやすいメリットがあります。ただし、中間処理用のETLツールやサーバーコストが別途かかる場合もあります。
- ・ELTでは、生データを大量にそのまま格納するため、ストレージコストが増える可能性がありますが、クラウド型データウェアハウス(BigQuery、Snowflakeなど)の安価なストレージと強力な並列処理を活用すれば、トータルコストを抑えることも可能です。
5. 向いているシーンの違い
シーン | ETLが向いている | ELTが向いている |
---|---|---|
データ量 | 小〜中規模 | 大規模 |
要件の変化 | 少ない | 多い |
リアルタイム性 | 高速性重視 | 少し遅延許容可 |
システム構成 | オンプレ中心 | クラウド活用前提 |
まとめ
ETLとELTは、どちらが「正しい」というわけではありません。
それぞれに適したシーンと特徴があり、自社のデータ規模、ビジネススピード、インフラ環境に応じて使い分けることが重要です。
近年は、大量データの蓄積・分析が求められる場面が増えているため、クラウド型データウェアハウスと組み合わせたELT型アーキテクチャの導入が加速しています。
自社の課題に合ったアプローチを選択し、データ活用をさらに推進していきましょう!